カスタマージャーニーマップを「UXのパッチ当て」で終わらせないために

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ペルソナは「ターゲット」ではない。

そんなことは当たり前だと思っていた。が、どうやらこの意味を正しく理解できていなかったらしい。
そんな私の気づきを皮切りに、カスタマージャーニーマップについて改めて考えたことをまとめてみたいと思う。

改めて問おう。「ペルソナってなんだっけ?」

ワークショップではインタビューをベースとしてペルソナを作ることも多い。ユーザー像に近い1、2名の方にインタビューを行い、その内容を踏まえてペルソナを作る、という流れ。

この方法のメリットはインタビュー結果をベースとするため、企業の思い込みと実際の顧客視点との差異が浮き彫りになるという点。
これはワークショップ後の感想として、クライアント担当者や参加者から「よかった点」として実際に伺う内容でもある。

しかし一方のデメリットとして、インタビューイの文脈に依存し過ぎて本来検証すべきポイントを見失う、その結果ペルソナに対する懸念を払しょくしきれず合意形成が不充分になるといった難しさがある。

ここで冒頭の話に戻るのだが、ペルソナを「ターゲット」だと考えインタビューイに配慮し過ぎると、「こう動いてほしい」という企業側の意思をペルソナに預けてしまうことになる。

カスタマージャーニーマップはあくまで企業側が主体的にUXをデザインするためのものであって、「このペルソナがし得る自然な行動」と「企業側が検証したいタッチポイント」を整合させるものとして、ペルソナもカスタマージャーニーマップも企業側が主体的に議論して構わないのである。

ただし、そこで「本当にAさん(ペルソナ)はそんなことするのかな?」というのを丁寧に丁寧に考える、というのが何より大事なのだ。

※書籍「はじめてのカスタマージャーニーマップ」で「都合のいいペルソナ」と称されている。「都合のいい」ってどういうこと?というのは議論の際に常に意識したい。

ノー戦略、ノーカスタマージャーニーマップ。

ちなみに前述の「こう動いてほしい」とは、企業側が描く理想的でスマートな、ゴールまで一直線な導線ではなく、ペルソナが取り得る非合理な凸凹とした行動を通じて、ポジティブ・ネガティブ両面の感情の揺さぶりが見られそうな、いわばより興味深い情報が取れそうな導線を意味している。

かつ、「より興味深い情報」とは企業のブランド戦略からマーケティング戦略へのつながりを考慮したうえで、ポジティブ・ネガティブなMoT(Moment of Truth)が把握でき、UXデザイン再考のヒントになりそうなもの。

そしてここで気をつけたいのが、「ノー戦略、ノーカスタマージャーニーマップ」。

戦略がベースになければ、ペルソナにどんな行動を取らせたいのか、という設計もできなければ、「何が戦略に対してクリティカルなMoTか」というジャッジができないため、KPIの設定もできない、ということ。

つまり、個々のMoTに対して「ここのタッチポイント、よくないですね、改善しましょう」という改善ポイント集を得ただけのカスタマージャーニーマップになる。問題抽出程度のために実施するには、カスタマージャーニーマップはコスパがいいとは思えない。

だから「ノー戦略、ノーカスタマージャーニーマップ」なのである。

…余談ですが、最近読んだ書籍「ニュータイプの時代」のなかで課題抽出ができることの優位性に触れられていて、UXに取り組む私は「ニュータイプ」かな、なんて思いそうになったものの、今回の気づきを得て「改善ポイント集」を作っている程度では全然「課題抽出」ができているとは言えないな、と愕然としたのでした。

ノー戦略、ノーカスタマージャーニーマップ」。

胸に刻もう。

※こちらの記事は小澤のnoteでも掲載しています。よろしければご覧ください!

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