スマホ8割でもPC改善は必要?高単価予約のデータから考えるマルチデバイス設計

「自社サイトへのアクセスは、スマートフォンが8割以上。だったら、PCサイトの改善に手を掛ける
必要はないのでは?」
GA4などのアクセス解析を見て、そう考えたことはありませんか?
結論から言うと、スマホからのアクセスが8割でも、PCサイトの改善が不要とは限りません。
実際に私たちが携わった調査では、スマホからのアクセスが多い一方で、PC経由の予約では予
約単価が高い傾向が確認されました。
では、ユーザーはどんな場面でPCを使っているのでしょうか。今回は、ユーザビリティテストをも
とに、PC・スマホのアクセス比率だけでは見えないユーザー行動を紐解いていきます!
目次
1.【事例】スマホ8割でも、PC経由の予約単価が高かった
ルート・シーが担当したインバウンド向けホテルさまの公式サイトでは、スマホからのアクセスが
約8割を占めていました。
しかし、デバイス別にデータを見ていくと、PC経由の予約について2つの傾向が確認されました。
- 1回あたりのサイト滞在時間が長い
- 自社サイト経由の宿泊予約において予約単価が高い
2.ユーザビリティテストで見えてきた、ホテルの比較・予約でPCを使う3つの場面
今回の事例において、PC経由の予約では予約単価が高い傾向が確認されました。一方で、アク
セスデータだけでは、ユーザーがどんな場面でPCを使っているのか、その背景まではわかりま
せん。
そこで、ターゲットペルソナの条件に合致する5名の外国籍ユーザーを対象にユーザビリティテス
トを実施しました。
今回は画面を操作しながら考えていることをリアルタイムで発話してもらう「思考発話」も取り入れ
ています。
その結果、ホテルの比較や予約において、PCを使っていた場面や背景が見えてきました。

01 | 長期滞在だから、ホテルの設備や客室を細かく比較する
今回調査した5名の中には、日本に1〜3週間程度滞在するケースがありました。そうなると「コイ
ンランドリーはあるか」「客室は十分な広さなのか」といった細かな情報まで確認したくなります。
ホテルを「寝る場所」としてではなく、旅行中の生活拠点として考えるからです。
こうした情報を把握する際、スマホの小さな画面で何度もスクロールするよりも、一度に多くの情
報を確認できるPCのほうが使いやすい場面があります。
つまり、確認したい条件が多い場面では、必要な情報を一覧できることがホテル選びの助けにな
ります。
02 | 土地勘がないから、PCの大画面でホテルの立地を確認する
もうひとつ、ユーザビリティテストで見えてきたのが「場所を確認する」という行動です。
調査ではアメリカ人対象者から次のような発言がありました。
「出先で簡単に探す時はスマホを使う。でも、実際の予約手続きや詳細なマップ機能、他のホテ
ルとの比較は画面が大きくて使いやすいPCを必ず開くよ」
日本の土地勘がない旅行者にとっては、住所だけではホテルの位置をイメージしづらいことがあ
ります。
「駅からどのくらい離れているのか」「観光地までどう移動するのか」こうした情報を確認するとき、
画面の大きいPCは役立つのです。
03 | 決済で失敗したくないから、文字や情報を確認しやすいPCで手続きする
そして、もうひとつ重要なのが予約・決済です。
「日程を間違えていないか」
「キャンセル条件はどうなっているか」
お金が関わる場面ではこうした細かな確認が必要になります。外国語の画面を操作するのであ
ればなおさらです。
スマホで直感的に進めるよりも、画面が大きく、文字や情報を確認しやすいPCで慎重に手続きを
したい。
今回のユーザビリティテストからはPCが「慎重に確認するためのデバイス」として使われている
場面が見えてきました。
3.モバイルファーストの落とし穴。「見やすさ」と「情報の削りすぎ」は別物
スマホからのアクセス数が圧倒的に多い場合でも、詳細な比較や意思決定の場面ではPCが重
要なデバイスになるケースがあります。今回の調査でも、まさにそうしたユーザー行動が確認さ
れました。
だからこそ気をつけたいのがモバイルファースト設計の捉え方です。「スマホのアクセスが8割だ
から」と安易に情報を削ると、必要な情報まで削ぎ落とされてしまうリスクがあります。
モバイルファーストとは、スマホなどの小さな画面を基準にwebサイトを設計することです。ただし
「見やすく整理すること」と「判断に必要な情報を削ること」は別です。
スマホサイズに合わせて情報を削りすぎると「知りたい情報が少ない」と判断され、離脱を招くり
スクがあります。
今回の事例であれば、客室設備や立地、キャンセル条件など、ホテル選びに必要な情報はPC・
スマホのどちらからでも確認できるようにしておきます。
そのうえで、ユーザーがそれぞれのデバイスで行う行動に合わせて、情報の探しやすさや比較
のしやすさを設計します。
4.PC・スマホの双方で成果を高める「マルチデバイス情報設計」3つの方法
では、PCとスマホの両方で成果を高めるには具体的に何をすればいいでしょうか。ここからは3
つの方法をご紹介します。

01 | ユーザーの使う場面に合わせて見せ方を考える
「スマホだから」「PCだから」と仕様を一律に固定するのではなく、ユーザーがそのデバイスで何
をしようとしているのかを考えましょう。
たとえば、ユーザーがwebで何かを調べるときには、次のような場面があります。
- まず概要を知りたい
- 気になるものを見つけたい
- 詳しい情報が知りたい
- じっくり比較して検討したい
- 失敗しないか確かめたい
ユーザーの行動をもとに必要な情報や見せ方を整理し、それぞれのデバイスで必要な情報を見
つけやすく、確認しやすい画面を設計することが重要です。
02 | デバイスを変えても検討を続けられる仕組みをつくる
ユーザーは必ずしも1台のデバイスだけで検討を完結させるわけではありません。
昼間にスマホでホテルを見つけて、夜にPCで詳しく調べる。そんな使い方も考えられます。だか
らこそ、ユーザーがデバイスを変えた場合でも検討が途切れない設計とそのための仕組みが重
要です。
例えば、
- 検討している宿泊プランのURLをメールやLINEで自分に送れる機能をつける
- ログインしていれば、検討履歴や保存した情報を端末間で引き継げる
UXを考えるだけでなく「どうすれば実現できるか」まで含めて仕組みを構築することで、ユーザー
はスムーズに検討を続けられるようになります。
03 | PCだからこそ見せやすい詳細情報を比較しやすく設計する
PCの大画面にはスマホとは違う強みがあります。
今回のようなホテルサイトであれば「実際の部屋を見てから予約したい」というユーザーにとっ
て、「大きな地図」「360°ビュー」などの情報は判断材料になります。
これは、PCだけ情報を増やすという意味ではありません。
必要な情報はどちらにも持たせつつ、スマホでは限られた画面の中で見つけやすく整理。PCで
は画面の広さを活かして「比較しやすさ」や「一覧性」を高める設計にすることが有効です。
5.ユーザーの検討行動を見て改善施策を決めよう
重要なのは、webサイトの改善を「スマホ8割」という一つの数字だけで決めないことです。
GA4でデバイス別のアクセスを見ることは大切です。ただ、アクセス解析でわかるのは、あくまで
「何が起きているか」です。
「なぜその行動をしたのか」までは、数字だけではわからないことがあります。
データだけではわからない課題はユーザビリティテストで検証する
そして、数字を見て「なぜだろう?」と思ったときに役立つのがユーザビリティテストです。
データを見る。
疑問を持つ。
実際のユーザーに聞いてみる。
そして、わかったことをwebサイトの設計や改善に反映する。
この繰り返しが、成果につながるwebサイトをつくるうえで重要だと私たちは考えています。
「データはある。でも、何を改善すれば成果につながるのかわからない」
そんなお悩みはありませんか?
まずは現在のwebサイトについて一緒に整理してみましょう!ぜひお気軽にご相談ください。